本文
櫛目印花格子文壺
珠洲櫛目印花格子文壺
すずくしめいんかこうしもんつぼ
- 出土地未詳
- 器高29.2cm、口径14.4cm、胴径25.5cm、底径8.7cm
- 13世紀後半(鎌倉時代中期)
胴部を叩き成形した後、叩き痕を削って平滑にし、櫛目を斜格子に刻む。櫛目は口縁上端にも波状に施されている。肩部の一画に樹木が線刻されており、刻画文・櫛目文・頸部の印花文と、三種の装飾を兼備した希少例である。
本品の刻画は、単純省略化されているが、大地をしっかりとつかむ露根と線刻された葉から、松などの常緑樹を現しているのであろう。この他にも同様の針葉樹や常緑広葉樹の葉が描かれた例が散見され、生命力を象徴する常緑樹が、画題として好まれたようである。